カリキュラムの理念

学生同士の議論風景
教授と学生の議論風景

教育ポリシー

  無機材料工学科の教育ポリシーはここで見られます

カリキュラムの理念

 @無機材料の製造と利用に関する知識の修得という従来の教育理念から脱却し,金属やポリマーなどをも含む工業材料全般に対する材料科学的な理解を与えるという教育理念に改訂する.

 Aこれまで,金属・ポリマー・セラミックスと材料別に構成されていた材料科学を,一旦,基本要素ごとに分解し,それを再構成して,新しい材料科学の構成法を提案する.

 B講義における理論上の理解と並行して,学生実験で実際の現象を観察したり,測定したりしながら,現象の本質をつかみ取る思考力を養成する.さらに,創造実験(学生が与えられた手順で実験するだけでなく,学生自身で実験テーマを設定して取り組む実験のこと)の手法を活用して,学生の創造性の育成にも配慮する.

 Cこのような教育の実践により,豊かな人間性と総合的な判断力を有し,将来,どのような分野においても,指導的な技術者・研究者となりうる人材を養成する.

カリキュラムの特徴

 @従来の無機材料工学は応用化学の一分野という扱いであったので,『物理化学』の教科書を一通り勉強するということがカリキュラムの中心となっていた.このため,物理化学の教科書の中で,熱力学も,統計力学も,量子化学も,分光学も,結晶学も,物性論もそれぞれ軽く触れる程度で,これらの学問分野をきちんと理解したという実感がもてない学生が多かった.そこで,新しいカリキュラムでは,これらの学問分野を分解・再構成して,個別の学問分野として『○○学』という形で丁寧に教えることにした.

 A個別の学問分野に分解した結果,それぞれの学問分野の特徴によって,次の4つの科学群に再構成することができた.

構造科学群 量子力学(材),無機量子化学,有機高分子化学,結晶化学,分光学など
物性科学群 固体物理学,連続体力学,材料強度学,数理材料科学,統計力学など
反応科学群 熱力学,環境の科学,電気化学,界面化学,化学反応動力学,欠陥の動力学など
プロセス科学群 セラミックス概論,セラミックスプロセシング,生体材料学など

 Bこれら4つの科学群に類別することにより,それぞれの学問の材料科学における位置づけが学生にも理解しやすくなるものと期待される.また,各科学群に含まれる学問分野の順序関係もきちんと定義でき,学年進行に合わせて,学生が無理なく学習できるようにもなった.

 Cこのようなカリキュラムで学習すれば,材料科学に含まれる各学問分野が,学生の頭に中で構造化され,多岐に渡る工学的な諸問題に対しても,満足されうる一定レベル以上のソリューションを与える実力が養われるものと考えられる.

新しいカリキュラムに改定した動機

 今から20年くらい前には,無機材料工学科を卒業すると陶磁器・ガラス・セメントといったセラミックス専業メーカーに多くの学生が就職していましたが,最近では,電気・自動車・精密機械といった組み立て産業関連のメーカーに半数以上の学生が就職するようになりました.
 そこでは,機械工学や電気工学出身の技術者,あるいは応用物理学出身の研究者とともに仕事をしていく必要がありますが,従来のカリキュラムのように,セラミックスの作り方が中心の教育では,無機材料工学科の卒業生がかならずしも十分に存在感を発揮できないという感がありました.
 そこで,学科の若手教員が中心になって,カリキュラムの現代化・構造化を図ると共に,20年後になっても通用するような『材料科学教育のあるべき姿』を世の中に提案しようという意気込みで,新しいカリキュラムを作ることにしました.